こんにちは獣医師の阿波です。

皆さんは食べ物のアレルギーってお持ちでしょうか?

 

 

自分はマンゴーの皮膚アレルギーを発症したことがあります。

一応病院で診断されたのですが、アレルギーを起こした皮膚に細菌が二次感染してその時は大変でした。

それまでは食べても問題なかったのですが、それ以来口にしていません。ただ、あの美味しさを覚えているものですから、夏が近づきスーパーやお中元のちらしなんかで目にすると逆に食べたくなってしまいます。我慢我慢…

 

 

 

動物達にもアレルギー性の疾患は多く認められます。皮膚症状以外にもアレルギー性の結膜炎や鼻炎、肺炎や腸炎など多岐にわたります。

今回は犬よりもあまり知られていない?猫のアレルギー性皮膚疾患について少しご紹介させて頂きます。

猫 痒い

 

 

アレルギーとはある抗原(アレルゲン)に対して免疫反応が過剰に反応してしまうことで引き起こされます。

アレルギーの型は即時型といわれるⅠ型(例:アナフィラキシー)から遅延型のⅣ型まで症状の特徴や障害される臓器も様々ですし、型が組み合わさることもあるので複雑です。

※人の方ではⅤ型アレルギー(例:バセドウ病)まで分類があります。

 

 

 

 

猫では犬よりもアレルギー性皮膚疾患があまり知られていない部分があると思いますが、猫の皮膚疾患のうち25~30%はアレルギー性皮膚疾患であったというデータがあります。(出典:Scott et al 2012)

アレルギー性皮膚疾患の原因としては、食物以外にも外部寄生虫(ノミ・耳疥癬・ツメダニなど)やハウスダストマイト、薬物、蚊刺症(耳に多い)などがあげられます。

 

 

 

猫の食物アレルギーは意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あるんです。

その食物アレルゲンの割合をみていくと更にびっくりされるかもしれません。

  • 牛肉 18%
  • 魚 17%
  • 鶏肉 5%
  • 小麦・コーン・乳製品 4%
  • ラム 3%
  • その他

(出典:Mueller et al.BMC Veterinary Research 2016)

なんと魚アレルギーのネコちゃんが意外と多いんですね。よく食べられてるという背景もあるかもしれませんが(;^_^A

 

 

症状としては、特に頭部や頸部に強い痒みを認め、びらん~潰瘍、痂皮(かさぶた)性病変を認めることが多いとされています。

このような症状以外にも猫の食物アレルギーは多彩な症状が認められます。

  • 粟粒性皮膚炎・・・痒みを伴う小型の丘疹、痂皮性病変
  • 外傷性脱毛症・・・掻いたりかじったりして、毛が破綻した状態
  • 好酸球性局面・・・痒みを伴う幅広く扁平のに盛り上がった病変
  • 好酸球性肉芽腫・・・口腔内や大腿部の結節
  • 無痛性潰瘍・・・上唇の潰瘍

 

猫アレルギー性皮膚炎 写真

また、皮膚症状以外にも猫の食物アレルギーでは10~15%の症例において軟便・下痢・嘔吐などをはじめとした消化器症状を認める場合があります。

 

 

 

 

ただし、こういった病変があれば必ず食物アレルギーということではないので、ノミの予防はしているか、感染症の有無、症状に季節性はあるか、皮膚のケア方法などを調べていきます。

アトピーや食物アレルギーが疑わしい場合は適切な治療を行いながら、低アレルギー性のフードへの切り替えをおすすめします。

 

 

 

それでは、実際の症例をご紹介させていただきます。

このネコちゃんは1ヵ月間お薬の投薬と低アレルギー食を実施し、良好な反応が得られたので、現在お薬の投薬頻度を減らしてフードの管理を継続してもらっています。

〇初診時

両前足や後ろ足の膝の部分をよくかじり被毛の破綻、皮膚は発赤・軽度粟粒性皮膚炎を認め、腹部はよく舐めて脱毛と軽度の発赤を認めました。

〇1カ月後

かじることはなくなり、前足や後ろ足の皮膚病変は消失ししっかりと発毛しています。腹部もほとんど舐めなくなり発毛が認められます。

 

 

 

今回使用したフードはロイヤルカナンのアミノペプチドフォーミュラになります。

このフードはタンパク質をアミノ酸レベルまで分解し、食物アレルギーによる皮膚・消化器疾患や食事反応性腸症の原因とならないアミノ酸・オリゴペプチドを使用しています。

※低アレルギー性のフードはたくさんありますが、猫のアレルギー源となるタンパク質は多岐にわたりますので、種類によっては低アレルギー性のフードでも皮膚症状が改善しない場合もあります。

 

 

 

フードは毎日食べるものになりますので大事ですね。

もしネコちゃんの皮膚の痒みでお困りでしたら、一度病院にてご相談ください。

猫 食べる