先日、乗馬クラブから電話があって、仔馬が怪我をして縫合が必要だというので、早速、縫合に必要な手術道具や薬品などを準備して、乗馬クラブに向かいました。

その仔馬は頭の高さは、大人位あり、体重は約100kgでけっこう大きいのですが、まだ生後1カ月位で母馬のお乳を飲んでいました。傷は前胸部にあり、10×10cm大に皮膚が裂けていましたが、幸いに傷は浅く、筋肉の一部を縫合し、後は皮膚を縫合すれば大丈夫なようです。

皮膚の状態を調べるのに傷の周辺を触っただけでも飛び上がったりしますので、鎮静剤を使用して動かない様にしないと縫合は出来ません。問題は鎮静剤を何を使うかですが、まだ哺乳中の仔馬に鎮静剤を使用したことはないのです。

と言っても、車の中には1種類の鎮静剤しか有りませんでした。この鎮静剤は成馬には効きません、過去に使用したことがありましたが、多量に注射してもなかなか鎮静しなかった記憶があります。でも仔馬だから、少し効かない位の鎮静剤が良いかもしれないと思って、注射しました。

すると、まもなく、仔馬は大人しくなり寝てしまいました。これはいいぞと思いながら、傷を洗浄し、縫合を始めました。ところが、15分位経つと、眼がきょろきょろし始めたと思ったらいきなり飛び起きたのです。やっぱり長くは効かないんだな、それでも仔馬には安全みたいだからと思い、もう一度注射しました。

 

結局、縫合が終わるまで、合計4回鎮静剤を注射しなければなりませんでした。それでも縫合はなんとか無事終わり、仔馬も元気だったので良かったです。仔馬ですが、暴れると大人4人でも抑えきれないほど力があります。仔馬は縫合手術のあと、早速、母馬のお乳を吸っていました。

何故、怪我をしたかというと、良く分からないのですが、放牧場から帰ってきたら怪我をしていたそうです。傷の状態からして、釘のようなものに引っ掛けたんじゃないかと思います。まだ人間で言えば赤ちゃんですからね、好奇心旺盛で、気になる物があったら放牧場の柵の間から頭を出したりするんでしょうね。