こんにちは獣医師の阿波です。

今年もよろしくお願いいたします。年始から食あたりで大変なことになっておりました。生魚のあやしい臭いのするものは食べないほうがいいですよ!

まああまり食べる方はいらっしゃらないとは思いますが(;^_^A

 

 

その食あたりを起こした際に消化器内科を受診したところ、重症度を評価するために採血をして全血球計算とCRP(炎症性蛋白)を測定して頂きました。

CRPは低く、白血球などの上昇もなかったので内服薬でいきましょうとのことでした。

自分もおなかが痛く腹膜炎とか起こしてないかな~と気になっていたのですが、客観的に血液検査で体の中の状態を数値で表してもらうと安心感がありましたし、納得もできました。

 

 

そこで今回はCRPとは異なりますが、体の中の臓器の状態を数値で表すことができるバイオマーカ―の中から心臓のバイオマーカ―についてご紹介させていただきます。

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Wikipediaによるとバイオマーカ―とは

ある疾病の存在や進行度をその濃度に反映し、血液中に測定されるタンパク質等の物質を指す用語である。さらに一般的にはバイオマーカーは特定の病状や生命体の状態の指標である。

とされています。

 

 

 

では心臓にはどのような種類のバイオマーカ―があるのでしょうか?

 

①ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)

ANPの上昇は左心房拡大と相関していることがわかっており、うっ血性左心不全の指標として用いられます。適応として多いのは犬の僧房弁閉鎖不全症になります。

②NT-proBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)

犬の僧房弁閉鎖不全症においてNT-proBNPはANPと同様の変動を示すことが分かっていますが、NT-proBNPは左心不全だけではなく右心不全や肺動脈弁狭窄症や心筋症猫でも増加します。このためNT-proBNPは心室負荷や心筋障害の指標として用いられます。

ANPは主に心房(上の部屋)で発現しているのに対してBNPは心室(下の部屋)に発現しているところが大きく異なります。

③cTnI(心筋トロポニンI)

ANPやBNPは心臓の負荷状態に呼応して心筋細胞から分泌されますが、cTnIは心筋細胞が破壊される際に血中に逸脱します。そのため、cTnIの血中濃度は測定時点での心筋障害の指標となり、心室の腫瘍や心筋炎などで上昇します。

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現在獣医療で用いられている心臓のバイオマーカ―は以上の3つになります。

それぞれ病態によって上昇しやすい項目が異なっているので、スクリーニングや病態の重症度などを評価する際には適切な項目を選ぶ必要があります。

ここで注意が必要なのは心臓バイオマーカ―は補助診断法であり、心疾患の診断検査ではないということです。

 

一方で、血液検査で体の臓器の状態が評価できるという点では非常に有用性の高いものであると考えることもできます。

そのためスクリーニング検査として実施し、検査値が異常値を示した場合はより詳しい検査が必要になります。その場合、確定診断には心臓のレントゲンやエコー検査、心電図検査などを実施し原因を探っていきます。

 

 

 

 

また、心臓バイオマーカ―にも一般的な生化学検査と同様に影響を受ける様々な要因があります。

具体的には、腎不全や高血圧、甲状腺疾患はいずれの項目にも強く影響し、特にcTnIは炎症性疾患や貧血性疾患でも上昇するので、測定結果が高値であれば基礎疾患の確認も同時に行う必要もあります。

 

 

 

これらの検査はいずれも外注検査になるので結果が出るのに数日かかります。

また春はこういった検査もキャンペーンで少しお安くなっておりますので、健康なうちから

こういった検査を通常の検査に加えるのもいいと思います。

 

特に7歳以降のシニアのワンちゃんや、以前から心雑音が聴取されているけどまだ症状が出ていないワンちゃんネコちゃん。

症状が出てからでは病態が進行しているのです。

ネコちゃんの場合は心筋症が隠れていても心雑音がはっきりしない場合もありますので、年齢に限らず一度こういった検査を受けて頂くといいかなと思います。

 

 

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今年から新たな春の健康検査のキャンペーンをご用意しておりますので、是非ご来院の際には壁にかけてあるボードチェックしてみてくださいね(^O^)/

 

それでは皆様インフルエンザが猛威をふるっているようなので、手洗いうがい等しっかり行ってインフルエンザに負けないよう元気にお過ごしください!