こんにちは獣医師の阿波です。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19) が全世界で猛威をふるっており、社会生活に大きな影響を及ぼしております。

新しい感染症のため、まだ不明な点も多く人間はもちろん動物を飼われている皆様もご不安に思われることがたくさんあるんではないでしょうか。

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当院におきましても3密を避けられるよう飼い主様にもご協力頂き感謝申し上げますとともに、引き続きご協力のほど宜しくお願い致します。

そんな折、厚生労働省から獣医師会を通じて「動物を飼育される方向けQ&A」が送付されてきましたので、皆様の不安が少しでも解消されますよう情報を共有させて頂きますので参考にされてください。

 

 

 

まずコロナウィルスに関して少しお勉強を、、、

コロナウィルスはエンベロープと言われる脂質の膜で包まれており、アルコールや石鹸などで適切に処理すれば破壊することが可能です。

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ただし、アルコールも適切な濃度と一定時間以上の接触をさせる必要があり例えば消毒用エタノール80%で1分以上とか。

 

市販で入手できるものはアルコール濃度がいろいろあると思われますが、出来れば50%以上のもので1分以上の接触が望ましいと思われます(参考:北里大学の研究)。汚れなどが付着していると効果が減弱してしまうので注意が必要です。

石鹸などはアルコールより効果が劣る可能性がありますので、これは消毒というより物理的に洗い流すという考えの方が無難でしょう。

不適切なアルコール消毒よりしっかり石鹸で洗い流すほうが確実です。(タオルが汚れているものを使いまわしてたら意味がないですのでご注意を!)

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また、新型コロナウィルス感染症の原因となるウィルスはコロナウィルスの中でもベータコロナウィルス属に分類され、アルファコロナウィルス属に分類される犬コロナウィルスや猫コロナウィルスとは種類が全く異なります。

 

 

このベータコロナウィルス属にはヒトの風邪の原因となるウィルスが含まれますが、他にもSARSコロナウィルスMERSコロナウィルスやなどの比較的新しい呼吸器感染症も含まれます。

 

 

 

 

話が脱線してしまいましたが、厚生労働省からの「動物を飼育される方向けQ&A」をご紹介させていただきます。(令和2年4月15日現在)

厚生労働省のホームページからもご覧になれます。

動物を飼育する方向けQ&A(4月15日時点版)

Q1.飼育しているペットに感染しますか?

A1.これまでのところ、海外では新型コロナウィルスに感染したヒトからイヌ、ネコが感染したと考えられる事例が数例報告されております。また、動物園のトラでの感染(飼育員から感染したと推察されている)事例も報告されています。

ただし、新型コロナウィルスは主に発症したヒトからヒトへの飛沫感染や接触感染により感染する事が分かっており、現時点で動物での感染事例はわずかな数に限られています。

 

Q2.感染した動物での症状はありますか?

A2.これまでのところ、イヌでは明確な症状は確認されていませんが、ネコでは呼吸器症状・消化器症状があったとの報告があります。

 

Q3.飼育しているペットから人が感染した事例はありますか?

A3.これまでのところ、新型コロナウィルスがペットから人に感染した事例は報告されておりません。

しかしながら動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触した後は、手洗いや手指消毒用アルコールで消毒などを行うようにしてください。特にペットの体調が悪い場合は出来る限り不必要な接触を控えましょう。

 

Q4.新型コロナウィルスはコウモリ由来というのは本当ですか?

A4.新型コロナウイルスの自然宿主は現時点では不明です。その遺伝子配列がコウモリ由来のSARS様コロナウイルスに近いため、コウモリがこの新型コロナウイルスの起源となった可能性が考えられていますが、明確なことはわかっておりません。

 

Q5.犬を飼育していますが、狂犬病のワクチンは6月30日までに打たないといけないのですか?

A5.犬を飼育されている方は、狂犬病予防法に基づき毎年4月1日から6月30日までの期間に予防注射を受けることとされています。
しかしながら、今年は、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大状況等を踏まえ、感染症のまん延防止の観点から7月以降に受けることも可能とする方向で検討を進めておりますので、慎重に対応していただきますようお願いいたします。動物病院を受診する際は待合室での混雑を避けるため事前に電話連絡で相談するなど、集団感染を防ぐための配慮をよろしくお願いします。

 

 

 

以上になります。

新興感染症ですのでまだまだ不明な点が多くあります。現在認識されている情報が今後変わってくる可能性もありますのでご理解ください。

長期戦になるとは思いますが、一日でも早く収束に向かうよう心から祈るばかりです。

皆様もどうかお体ご自愛下さい。